学校の階段(2007・日)

バカ度:★★★
怪音波度:★★★★
特撮度:死海並
総合:★

<あらすじ>
黒川芽似プロモーションビデオ。
以上。



櫂末高彰「学校の階段」シリーズの実写映画です。この原作は1~3巻まで読了済みです。

山の斜面に張り付くように建てられた「天栗浜高校」は、その傾斜差のために迷路のような構造。上がった筈が一階に辿り着き、降りていくと三階や四階に出るような奇妙な構造の校舎郡が空中廊下で接続されています。

そんな構内をいつ現れるか分からない障害物(人間含む)をかわし、現在位置を正確に把握しながら階段を素早く駆け上がる「階段レース」にかける「階段部」の青春を真正面から描く学園グラフィティというふれこみです。

てらしまさんの遊星からのフリーキックでパルクール小説だと言われていたので興味をもったのですが、はじめは某ホラー映画にあやかった萌え小説だろと思っていたので予想外に"熱い"内容に良い意味で裏切られました。

本編にはパルクールの"P"の字も出てきませんが、たしかに読んでいてParkourにも通じるものを感じました。当ブログでたまに出てくるParkourタグに反応できる人には釈迦に説法でしょうが、Parkourというのは………………

まぁ、まずは動画を見るのが一番ですね。

Le Parkour (Street Climb) (Atletismo Callejero)


こんな感じの「効率的な移動」を追求するため自らを鍛えることです。リュック・ベッソンの YAMAKASIと言えば分かる人も多いのではないでしょうか。細かなルールは違いますが、そのParkourを校内でやるようなものです。

当たり前ですが「廊下は走らない」「階段は静かに」は小学校でも知っています。トップスピードで一般生徒と衝突しようものなら怪我、酷い場合は命に関わる事故に繋がる危険性を階段部の面々も自覚しています。

作中で何度も描写される、この危険性を肝に銘じておくことは自己客観化能力です。トラックを実際に走りながら、走っている自分を観客席からも観察できる能力です。……麻痺してくるんですよ、長くなくても続けていると。

自分の今していることは危険か、一般人に迷惑をかける結果になる可能性はあるか判断する力が。もし大変な事態になった後、相手と自分がどうなるか想像する力が。読んでいて「やばい、やばい」と思わされる箇所でした。

本当に、できればParkourに出会う前に読んでおきたかった。周辺確認せずに跳び降りたらうっかり衝突なんてシャレにもなりませんが、万一接触しかけた時は「すみません」というのは心に留めておいていいと思います。

見所はやはり階段レース。それも終盤のラリー(階段の昇降数とチェックポイントをクリア・ルートは自由!)が盛り上がるシーンです。
事前情報の有無。刻々と変わるルート状況に柔軟に、迅速に対応する判断力。最適解を選び取る嗅覚と決断力が勝負の行方を決める! 最後の接戦まで燃えますね。

主人公がバスケ部を見学に行って「……何か違うな」→ 階段レースに出会って自分がやりたかった事を自覚するくだりは、自分がParkourに出会った頃の「これだっ!」という気持ちに重なり、とても共感できる箇所です。

私自身、いわゆる"中学部活"(先輩には絶対服従・無意味なシゴキ・ジャパニーズ精神論・etc...)をリアルで経験していたのでスポ根ものなんざ大嫌いなものの1つでしたが、これは気に入ってしまいました。

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櫂末 高彰

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さてそんな気に入った作品の実写映画版ですが、人生の貴重な75分くらいを確実に浪費してまで見るシロモノではございません。 YAMAKASIBANLIEUE 13と比べちゃいけないのは分かってますが……分かってますがッ!

なんという原作レイプ……小説やゲームの実写化が失敗する理由がまだ解っていないらしい典型的な日本映画に陵辱された「学校の階段」を嫌というほど楽しめる一本です。

へろへろ・のたくたと階段を走る姿や編集が丸分かりなしょっぱいGap Jump・Landing Rollもどきは見ているだけでイライラします。女優陣がまるで図ったかのようにブス揃いなのも、画面の見苦しさに拍車をかけています。

特撮で誤魔化してもアクションが悉くヘボなあげく、何をトチ狂ったか突如始まる素敵なジャイアンリサイタル黒川芽似のうた(3回も)というか怪音波が観る者全てを発狂させんと襲い掛かってきます。

主人公に八百長を強要しようとする教頭達の子悪党ぶりはもはやコントの域にまで達していますが、これだけバカスメルを漂わせておいてなぜ筋肉研究部を出さない!? 鼻血吹いてぶっ倒れるだけのザ・通過点なんて要りません。

と不憫な箇所ばかり挙げましたが、実は最初に目を引いたのは唯一といってもいいくらいのグッジョブな点でした。構内の3次元Mapです。せっかく映像化したのなら、これが無ければ嘘でしょう。CG担当には拍手を送ります。

◆ ◇ ◆

この原作の良い点を最大限活かせるメディアはゲームだと思います。フル3Dで描画された天栗浜高校の構内全域を使って疾る!登る!跳ぶ! 海外には既にParkourにインスパイアされたものが。

Free Jack
Free Running
Totems

天栗浜高校という舞台は、とても稀な面白い構造を形成していることは想像するに容易です。こんな面白そうなゲーム盤を作者の頭の中だけに留めておくのはもったいない。地図をください、という感想もよく見かけます。

「図面と許可をくれ。あとは俺がやる」

そう言ってくれるゲームクリエイターがいることを願います。それから監督は映画稼業引退しやがr…………ん? 佐々木浩久? どこかで聞いたような……

佐々木浩久インタビュー

佐々木浩久だったか、じゃあしょうがないな。ムキになって怒ったのが馬鹿みたいじゃないですか。次があるならリュック・ベッソンあたりにリメイクしてもらえ!ってところで今日はお粗末。

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